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独創的なデザインとシンメトリーの構成

時計技術と美的デザインのどちらに関しても完全主義だったアブラアン-ルイ・ブレゲは、今日でも驚くほどモダンなムーブメントを設計していました。
大きな香箱を中央に置き、その上に歯車を左右対称に並べる彼のデザインは、数世紀を経てまさに「トラディション」の原点になりました。このような設計では、通常の2番車が8時位置に、振動するテンプが4時位置に配置されます。また、アブラアン-ルイ・ブレゲが発明し、現在のあらゆる時計に用いられている耐震機構の起源となる「パラシュート」も搭載され、これもまた「トラディション」コレクションの特徴的なシグネチャーになっています。


もう一つの際立った特徴は、時刻を表示するオフセンター・ダイヤルです。
ゴールド製のダイヤルを12時位置にオフセットしたそのデザインは、ブレゲの「モントレ・ア・タクト」から想を得ました。新しい「トラディション 7597」は、ローマ数字のチャプターリングを配し、これと境を成すクル・ド・パリ模様のギヨシェ彫りにブルースティールのブレゲ針が映えます。



レトログラード式の日付表示は、シンメトリーのバランスを考慮して3時と9時の間に設けられ、巧みにカーブをつけた針が、極めて構築的なデザインのムーブメントの上を移動します。特許を得た日付修正機構により、容易に日付の調整が可能になったこの立体的なデイト表示の針が、ムーブメントのパーツの上を滑るのです。10時位置に配されたねじ込みのデイト調整ボタンは、安全に日付の設定ができます。


シンプルを極める傑作時計「スースクリプション」
「ブレゲの工房で製造されたクロノメーターがどれほど完璧かは、言うまでもない」。
ジュール・ヴェルヌ 『アンティフェール親方の驚くべき冒険』 (1894)

アブラアン-ルイ・ブレゲは、当時の時計師の中で最も才能に恵まれた一人で、リピーターウォッチ用のゴングスプリング(1783年)やトゥールビヨン(1801年)など、生涯を通じて数々の革新を時計の設計に取り入れた人物ですが、非常に複雑な時計を創作する一方で、シンプルを極めた時計を創りだしたことでも知られています。

アブラアン-ルイ・ブレゲは、フランス革命が頂点に達した時期にスイスで2年間を過ごし、その後パリに戻って、1795年の春にシテ島のケ・ド・ロルロージュに構える自身の工房の経営を再開しました。
その第一段階は新たな顧客の獲得でした。そこでブレゲが発明したのは、限りなくシンプルなデザインとずば抜けた信頼性を併せ持つ時計でした。彼はこの時計に予約販売方式(スースクリプション)を取り入れ、やがて目覚ましい商業的な成功を収めます。

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